6月18日付産経新聞「断層」の<「ローマの休日」はローマの休日か>(呉智英)にはちょっとしたショック。
この映画は中学生のころから何回も見ていますし、2回訪れれたローマでは、「ここが映画にでてきたスペイン広場・・・」とか映画のシーンを思い出しながらなんともいえず感激したものです。
記事によれば、映画「ローマの休日」には、日本人の99.99%が気づかない重要な背景があるそうです。この名画は本当にローマにおける休日を描いたのだろうか、と「なんをいまさら?」という問題提起に続いて、あっと驚く話が書いてあります。
原題は確かに「Roman Holiday」だし、某国のアン皇女のローマにおける一日の息抜きを描いています。しかし・・・この邦題は原題を直訳した一種の誤訳だというのです。
正しくは、「はた迷惑な王女様」か「王族のスキャンダル」にしなければならない、とも。
ちょっと大きな英和辞典をひけば「Roman Holiday」が熟語だとわかるそうです。
<ローマ帝国では、奴隷戦士をライオンと戦わせる見世物があり、ローマ人は休日に娯楽としてこれを観戦した。見ている方には娯楽でも奴隷戦士にはいい迷惑である。このことから「ローマの休日」で他人の迷惑を楽しむ、あるいは、面白いスキャンダル、という意味になった。ここでは、王女様の楽しみがはた迷惑であり、王女様の恋がスキャンダルとして騒がれそうだ、ということだ>
えっ? そんな~という感じですが、呉氏は<欧米の教養人ならすぐわかるしゃれが日本人には分からない。・・・文化のコード(約束事)を知っておかなければ、外国のことは半分も理解できないのだ>と続けています。
そこで、念のために英和辞典を調べてみました。確かにありました。
プログレッシブ英和辞典
「野蛮を特徴とする見せ物[論争];他人を苦しめて得る利益・楽しみ. ▼古代ローマの娯楽であった奴隷の切り合いに由来」
ネットの書き込み(ArtSaltのサイドストーリー)にも、こんな記事をみつけました。バイロンがつくった言葉だったんですね。
<ローマ帝国の人々は奴隷を戦わせ、それを見物するという娯楽を享受した。当然死者が出たろう。イギリスの詩人 Lord Byron こと George Gordon Noel Byron は "Childe Harold's Pilgrimage" という詩の中で、それを "Roman holiday" と称した。「人の不幸を楽しむ」「人を苦しめて楽しむ」。この意味が映画の内容と合致していることは言うまでもない。
王女がローマで自らの正体を知られることなく生き生きと過ごした一日。その日が平日だったとしても、彼女にとっては平日ではなかった。Gregory Peck 演ずる Joe Bradley が王女をだましたこと。王女がローマで過ごした休日のような時間。映画の題名を決めた人は二重の含意をもくろんだわけだ。しかしバイロンの詩に由来する意味を知る人は英語圏でも少なくなりつつあるらしい>
勉強になりました。
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