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01/12/2004

元日の新聞 2004年版

1月1日に発表したものをココログに再録します。

2004年1月1日の新聞から   by  tetsu(2004.1.1)

1.美しい日本(産経P1&31)
吹雪越しに萱葺き屋根の農村風景・・・「萱葺き 囲炉裏に集う家族」。<日本
という国がほころび始めているという。経済は思わしくないし。治安はよくな
い・・・でもこの国がそんなに悪くなったのかと問えば、やっぱりすてきなのだ。
あちこちに美しい風景があり、そこで暮らす人々の美しいたたずまいがある>。
そんな「美しい日本」を各地からシリーズで伝える新春らしい企画が始まりまし
た。(東京本社版には載っていませんでした)

2.年頭の主張(社説)(産経 P1)
「日本の運命を決める1年/文明社会の重責を果たしたい」、小見出しは「教訓
としての湾岸戦争/限界の<その場しのぎ>/生まれてよかった国へ」。
司馬遼太郎-井上靖の対談から、「日本には華厳の哲学がある。世界を相対的な
ものとして受け止め、光明をサン(金+賛)仰しつつ、万物はお互いさま、すべ
てがお互いのおかげで生かされているという考えである」「世界に対して、日本
人はいいやつらだというものを再生産してゆくしかない」という司馬の言葉を引
用します。
自衛隊に犠牲者が出たとき、日本人はどう対応するか、毅然とした態度をとれる
のか、強靭な精神力で対応できるのか・・・
どっちに転がるかわからない状態に放置してきた戦後政治の怠慢も指摘します。
「憲法には自衛隊の人道目的の海外派遣を可能とする規定が盛り込まれるべきだ
ったし、周辺事態にそなえ、(同盟国軍を守る)集団的自衛権の行使を容認する
ものにしておかなければならなかった」。国内が右往左往し、責任のなすりあい
が始まれば、国際社会から侮蔑を受け、政局から日米関係まで深刻な影響を及ぼ
すと警告します。論点は、「我が国は文明社会の責任をどう果たしていくか」。
最後は「日本は死地に赴いても、任務を完遂し、生きとし生けるものに扶助の手
を差しのべる哲学をもった真に強い国であり続けている--と歴史に刻まれるよ
うな道に歩み出す年であってほしい」と締めくくっています。
確かに日本にとって、国際社会でどう評価されるかが決まる1年という気がしま
す。

3.永田町の年賀状拝見(産経 P7)
産経でもっとも面白いのが、政治家の架空年賀状。
ブッシュに「あなたの友人 小泉純一郎」から「今度、こっそりイラク電撃訪問
のノウハウをご教授ください。政権浮揚の起死回生策として試そうと思います」
/「比例代表終身一位だった中曽根康弘」から「小泉一郎君」へ「私も風見鶏と
呼ばれたが、君も機を見るに敏なタイプだ。私を引退させたのも、世間の風を君
なりに読んだ結果なのだろう。老兵は死なず、消え去りもしない、である。憲法
や教育基本法の改正をいっそ私に丸投げしてはくれまいか」/「自称次期総理大
臣 菅直人」から「小泉純一郎様」へ、「一方的な追及の方法を伝授しますので、
その代わり、論点をすり替えるすべをご教授ください」/志位和夫から「尊敬す
る中央委員会議長 不破哲三同志」へ「幾多の党内抗争を粛清で乗り越え、無謬
性を誇ってきましたがこの辺で世代交代も必要。不破同志には悠悠自適の生活
を」。挿絵を見ると、くわを渡しながら「自給自足でどうぞ」/その他、「菅→
土井たか子先生」、「あなたの師匠・角栄の娘 真紀子→小沢一郎様」等、よく
考えて作ったなあとほんと笑っちゃいます。
堅苦しい政治の世界も、肩の凝らないこんな切り口から取り上げると、けっこう
楽しめるものですね。

4.「ネットで変る暮らし/我が家に未来がやってきた」(産経P77~84)
ネットを利用した成果が2件紹介されています。そのうち「四国の実験」は、家
庭の電気配線を活用して家庭内家電製品をネットワーク化し、機器を遠隔操作し
たり、省エネに役立てている四国電力の実証実験がテーマ。
エアコンの設定温度を1-5度上げるように電力会社から一斉に指令を出したり、
室内に設置された人感センサーで「この部屋には人がいない」と判断するとこた
つの電源を切るなどの「直接制御」と、家庭の電力使用状況のデータをこまかく
提供して、各家庭の利用者自身に省エネを促す「間接制御」。
昨年(2003年)8-9月には、エアコンの直接制御だけでも50%の省エネ
を実現したそうです。
ただの夢物語やアイディアでなく、実際の成果まで詳しく紹介されているところ
が正月にふさわしい面白い記事になっています。

5.大坂33所観音めぐり(産経 P27=大阪府下版)
かつて大阪には「大坂33所観音めぐり」があったそうです。「曽根崎心中」に
の冒頭にも登場する由緒正しいもの。全長20数キロ。もっとも33のうち8ヵ
所は廃寺または移転、不明。
去年は熊谷真菜さんの「大阪たこ焼き33ヵ所めぐり」で楽しみましたから、今
年はお正月の産経新聞記事を持って「観音めぐり」でもしましょうか・・・

6.知られざる変容 自衛隊50年(朝日 P1)
朝日1面にでかでかと載っているシリーズ第1回。見出しは「哨戒機 照準は資
源」「中ロ監視 海の神経戦」。(東京本社版は「資源争い海の情報戦」「経済
権益に監視の照準」)
「東アジアで繰り広げられ始めた資源をめぐる神経戦。そのパワーゲームの中に、
自衛隊はいや応なく組みこまれようとしている」「半世紀を経て自衛隊は、発足
時には予想もつかなかった変貌を遂げ続けている」と現状を紹介しています。
資源をめぐっていよいよ熾烈をきわめる争奪戦--こうした国際情勢の変化に、
我が国は指をくわえて見ているべしと結論づけるのでしょうか、それとも積極的
にパワーゲームに参加すべしと説くのでしょうか。
朝日が生き残りをかけて、取り組み始めたテーマでしょう。ただし、社説「軍隊
を欲する愚を思う」や「加藤周一-梅原猛対談 日本の誇り 軍より京都」との
整合性は? 今年は朝日の論調のぶれにも注目です。

7.「軍隊」を欲する愚を思う(朝日社説 P2)
情緒的でとらえどころのない年頭の社説が続いていた朝日に、今年は変化が・・・
小泉首相が国民に自衛隊派遣の意義を述べた翌日、毎日が社説で「条件付派遣賛
成」を打ち出したからでしょうか?
小見出しは「日露戦争と自衛隊と」「日本外交の過誤に学ぶ」「専守防衛に誇り
持て」と相変わらずと思えるのですが・・・
「日本人の多くは長いこと自衛隊や軍隊に強い関心を持たずにきた。しかし、今
年ばかりはそうも行くまい」「新憲法による軍隊との決別だったが、理想にも限
界がある。やがて生まれた自衛隊は、憲法9条と共存してきた」「日本の防衛を
補ってきたのは日米安保条約だ(が、一切の戦争に加わらずにすんだのは、憲法
のお陰が大きかろう)」「それだけでいいのか、と日本に問いかけたのが湾岸戦
争」「テロや核の拡散が世界や日本を脅かすという地球の変化があるのは間違い
ない」といままでの朝日とはいささかニュアンスに違いが・・・
さらに「PKOには積極的に加わるが、国際協調の整わない海外派遣は断る」。
ということは「国際協調さえ整えば、海外派遣賛成」ということ? 続いて
「米国には今後とも最も大切な友人であってほしい。同時に我々は米国の危
うさも直視し、時に腹を据えて直言したい」と説いています。

8.南極発(朝日 第3部)
朝日で目を引くのは「南極特集」。第45次越冬隊に記者2名(ペン、カメラ)
を派遣するそうで、力が入っています。ペンの方は女性です! 昭和基地の生活
が紹介されています。
<雪上車による1000kmの旅>南極には公道がないので、雪上車に運転免許
は不要。ウンチは雪に埋める。1ヵ月間お風呂は我慢、お湯で身体を拭くだけ。
寝るときはエンジンを切るので暖房なし、寝袋にもぐりこむ。生態系を守るため
動植物の持ちこみは禁止→「タロ、ジロ」時代と違っていまは犬ぞりが使えない。
<ドーム生活>散髪は得意な隊員に刈ってもらう。公衆電話は1分440円。外
の気温は平均-10.5℃、最低-45℃、最高+10℃。人口は40~100
人。
昔、学生だったころ研究室の教授の息子(理学部)が南極越冬隊員でした。お宅
の壁に、南極の地図が貼ってあったのを思い出します。

9.「まいど1号」に名前刻もう(読売 P1)
知研関西セミナーでも講演いただいたアオキの青木豊彦社長が推進中の人工衛星
「まいど1号」打ち上げ。1口1000円でサポーター会員を募集します。大勢
の人に「うちの衛星」と親しみを持ってもらうのが目的。衛星に名前が記録され
るそうです。みなさん、いかがでしょうか。

10.国民の安心が日本再生の基礎(読売社説 P3)
「重い決断を要する国家百年の計」、「漂う老後への不安感」「消費税アップが
必要だ」「前提となるデフレ脱却」「イラクで問われる日本」「集団的自衛権の
確立を」。
「国家百年の計のインフラ作りのため、首相は政治生命をかけて消費税引上げに
より、年金・社会福祉体系を再構築すべき」と説きます。老後に不安がなくなれ
ば、現役世代は安心して財布の紐を緩め、個人消費が増え、景気を刺激する、と
いうわけです。
「<危険があるからこそ自衛隊派遣>というイラクへの今回の決断は、戦後史を
画する意義がある」と主張します。犠牲者が出る可能性はありますが、「その時
こそ、真に日本が試される。反軍・反戦ポピュリズム的勢力が、ここぞとばかり、
派遣自衛隊の撤収を叫ぶだろうが、ここで揺れてはテロ組織の思う壺」。
さらに、オランダ部隊に防護されながら建設作業中に、もしオランダ部隊が攻撃
を受けたら、自衛隊は救援を拒否するのか? そうすれば日本は国際社会から相
手にされなくなるだろう。集団的自衛権の行使を容認するよう踏み切るべき」と
主張します。
結論は、「今、必要な決断をするかどうかは、国家百年の行く末にかかわるだろ
う」。

11.珍祭事記(読売 第4部)
全国から集めた珍しい祭を特集しています。ちょっと面白い記事です。
新潟県松之山町の「婿投げ」は、前年に地元の女性と結婚したよその男性を4~
5mの雪の斜面から投げ落とす。もともとはよそ者に村の娘を取られた腹いせか
ら始まったそうです。
埼玉県秩父市のジャランポン祭りh生きている人を死者に見たて、本物そっくり
の葬式を陽気に行い、災いを飛ばします。

12.読売国際漫画大賞(読売 第5部)
今年の課題は「癒し」。「平和主義」という優秀賞受賞作は、兵士が機関銃の弾
丸をどんぐりの実に入れ替えている絵。「こころおきなく」は、風呂屋のもくも
く煙の出る煙突の縁に腰掛けてタバコを吸っているおじさんの絵。大賞をとった
のはたくさんの薬箱の前で傷をなめて治療してもらっている猫の絵。

13.アメリカリスク対応が鍵だ、心配はイラクより政治の信頼感(毎日社説 
P2)
自衛隊派遣で賛否両論の間を揺れ動いていた毎日も、正月の社説で明確に「自衛
隊派遣の選択は基本的に同意する。対米追従以外に戦略を持たない現状では、行
かない選択がもたらすリスクが大き過ぎる」と明言しました。
<自衛隊派遣も日本としてのアメリカリスクへの対応で、現実の政権にはほとん
ど選択の余地のない決定だった。そうした事態からいつの日か抜け出すには日本
の将来に対する大きな戦略と目標が必要である>
<自衛隊派遣なしに平穏になるのを待ち、そのときに民間が行くという選択は現
下の情勢ではあまりにも身勝手だろう>
全国紙は朝日を除いて同じ方向を向いたようです。

14.にっぽん再起動 磁力ある地球国家をめざし出直そう(日経社説 P2)
<景気は上向いている。イラクへの自衛隊派遣という重い決断で、テロとの戦い
に取り組む姿勢を整えた。しかし、混迷の時代に日本人の知恵と行動が試される
のはこれからだ。国際社会で喪失した国の信認をどう取り戻すか>
ネット社会が生む新商品の連鎖が経済社会を需要・供給両面から変え、そうした
構造変化が成長の源泉になると主張します。
「イラク戦後の国際秩序作りでも、カネも人も出す日本が口を出さないのは不自
然」、「自らの潜在力を生かし、新たな一歩を踏み出す必要がある」と力説して
います。

15.ニュースで知る経済 先読み2004年(日経 P17~41)
日経で力が入ってるのはここ。1月~12月までトピックスをひとつずつ選び、
1ページずつの特集を組んでいます。1月は「年金改革」、2月は「国債市場
改革」、3月は「九州新幹線 部分開業」・・・といった具合。


以上

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