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01/27/2009

吉原の女と同じ

「産経抄」を35年間書き続けてきた産経新聞の名物記者、石井英夫さんが昨年末、退社されました。長年にわたる「産経抄」執筆により菊池寛賞を受賞されています。軽妙洒脱な中に耳かき一杯の毒をきかせた名文の書き手です。

その石井さん、退社の辞が1月22日付紙面に全面特集で記事になっています。そこにいくつかのエピソードが取り上げられているのですが、そのうちの一つは、私がご本人から生の講演で伺った覚えのある話。

<コラム屋が集まって酒を飲む。「天声人語」などいろいろ書いている連中が「おれたちは忘れっぽいねえ」。「とにかくいったん忘れないと前へすすめねえもんなあ」。読者から電話をいただく。「今日の産経抄について聞きたい」。「えっ、今日私何を書きましたっけ?」「おまえ、今日書いたことをもう忘れるのか」「すみません。実はいま、明日のことを書きながら電話を受けているので、今日までの分をいったん忘れないと前へすすめないんです」>

<毎日の「近事片々」を書いていた吉野正弘は暴走族に殴り殺されるという悲劇にあった男。彼が「そうさ、吉原の女が通り過ぎてった男のことをいちいち覚えていられるかい」。吉原の女も俺たちも見過ぎ世過ぎ、手をかえ品をかえ、枕をかえて、とにかく一度書いて出したのは、もう書けません。一夜契った相手とは朝別れていくというのが、コラム屋の商売でして>

別のエピソードの中に、梅棹忠雄先生の「文明の生態史観」が登場します。「人生に影響を与えた本を3冊挙げろというと、真っ先に梅棹さんのこの本を挙げます」と書いています。

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