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03/08/2009

北川悦吏子さんの表現力

映画「ハルフウェイ」を見た後で、ノベライズ版を頂いたので読みました。

やっぱり北川さんの文章(今回は正確にいうと小泉すみれさんによるノベライズですが)には、魅力を感じます。
例えば、(途中、適宜省略)
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「俺がヒロを思う気持ちのほうが、ずっと多いんじゃないかって気がするよ」
「・・・何対何くらい?」
「ヒロが1リットルで、俺が5リットル」
「だったら、その4リットル、いまくれ!」
「・・・」
「先のことは見えないもん。私はいまここにしかいないもん。私は、いま寂しい。いまでなきゃダメだ。いま、くれ。その4リットル・・・」(p110)
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「お願い、ね?」
「お前のその、ね?は脅迫だ。言われたらウンとしか言えない、ね?だ。わかってんのか?」
「ん?」
「ま・・・いいよ」(p125-126)
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「お前は一生、アンコールとリクェストで生きてくんだな。もう一回、とお願い」(p126)
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「その・・・わかる? ってやつ、やめてくんない? バカって言われてる気がする」(p127)
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「・・・好きじゃなかったら、お前の相手なんかするか。勝手でワガママで、いきなりで」
「一個くらい褒めてよ」
「・・・なんだろな」
シュウはヒロのほうを見もしないで、褒める言葉を探している。ヒロはゆれてふるえながら、シュウの言葉を待った。
「でも、好きだよ」
少しして、シュウはつぶやき、照れたように線路の向こうを見据えた。(p162-163)
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おもしろいなあ。北川さんの発想とテンポの速さ。残念ながら映画は、アドリブを重視したため、ノベライズ版とイメージがずいぶん違いました。

映画ではあまりいい印象をもてなかったヒロが、小説では無性にかわいらしくて、けなげで、愛らしい女子高校生に思えてきました。やはり北川さんのペンの力は偉大です。

ところで、文庫本の帯に新著「だけど、それはまだ物語の途中・・・」のPRが印刷されています。p165にも「これは物語の途中だって」という言葉がでてきます。「監督・北川悦吏子自身による闘病と撮影の記録」と書いてあります。最近もインターネット画面?でお姿を見ましたが、病気と戦いながらのご活躍なんですね。知りませんでした。

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