« 2シグマの外(そと)ですね! | Main | 時刻表はいま »

03/15/2009

漫画家・里中満智子教授の「自分の感性を大切に」

大阪芸大の著名人教員の紙上講義。少し前になりますが、産経新聞3月1日付は里中満智子さんです。日本漫画家協会常務理事でもある里中さんは、大阪芸大のキャラクター造形学科教授で学科長でもあります。

冒頭から「漫画って便利だなあって思うの」。映画だったら演技指導のできない犬にも、シナリオどおりの演技をしてもらわないといけないけど、「漫画は、根気さえあればどんなシーンも描けるの。描いて描いて練習してください」

なかなか分かりやすい講義です。

「漫画は、客観性をどう認識するかが大事。またそれ以上に大事なのが熱意です」。
「私たち教える側の役割は、いかに新鮮な刺激を与え、いかに学生の可能性を確信を持って言うかです」

おもしろいなあ思ったのは、画面づくりに触れている箇所。

「永久に忘れてはいけないポイントは、とにかく見開きで構図を考えること。右ページと左ページで同じ角度の顔、同じポーズ、同じカメラ視線・・・なんかがないかどうか。それから、吹き出しの大きさを考えることです。文字の大きさをそろえて、日本語を整理して改行も考えて、ぎりぎりの大きさに吹き出しを書かないようにしないとね」

こんなつまんないことを考えるより、決めポーズやいい顔を描くことに一生懸命になりたい学生に釘をさします。
「全体の画面として自然に見せるためには、絶対に忘れてはいけないんです」

へーえ、漫画家はいろいろ考えながら描いているんだなあ。しかもそれをちゃんと理論づけして頭にたたきこんでいらっしゃる!

「キャラクターは、自分が好きな小道具だけでつくらないこと」
えっ、どういう意味でしょうか?
「自分の好きな小道具マイナス1、つまり、まゆ、目、鼻、口のうち何かひとつは好きでないデザインにする」
おっしゃることが理解できませんが・・・
「この人は好きでない目に、この人は好きでない口に、というふうに描くと、どんどんキャラクターの描き分けができるようになります」
なるほど。

ストーリー展開についても、こんなお話をされています。

「人間関係や状況がストレスなく頭に入ってくること。同じ役割の人間や同じような出来事といった無駄がないこと。つじつまがあい、無理なくドラマチックに展開されていること。ドラマチックというのは、のっぴきならない事態で、私だったら逃げ出したいわ、って思うくらいのことなの。こなるんじゃないかってそのとおりになるのはつまんないのよ」
この部分のたとえがすごいんです。
「好きな彼がいるんだけど、告白できない。そこにライバルの女の子が出現するけど最後はうまくいくってのはお決まりの展開。これをこう変えます。彼がライバルの女の子を本当に好きになっちゃうとか、女の子がじつは主人公と近づくために彼に近づいた同性*愛者だったとかね」

「どっかで一度つくった話を壊してみる。そこからドラマって生まれるの」
ふーん、なるほど。

最後に、いろいろな物語や映画を見て、面白いな、つまんないなと感じる気持ちが大切だと言っています。「人と違ってもいい、それがその人の個性だし、自分の感性を大事にするように」と結んでいます。

(文中*は無視してください)

|

« 2シグマの外(そと)ですね! | Main | 時刻表はいま »