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03/07/2010

幸田露伴と「年増ぎらいでも褒めずに・・・」

幸田露伴の「五重塔」。

腕はいいが世間から評価されない貧しい大工・のっそり十兵衛が、五重塔の棟梁として世間を見返す物語です。源太とお寺の上人、十兵衛が世話になっている棟梁・源太の人間関係や感情を軸にストーリーが展開します。

露伴は、源太の女房をこう描写しています。

<男のように立派な眉をいつ掃(はら)いしか剃ったる痕の青々と、見る眼も覚むべき雨後の山の色をとどめて翠の匂い一トしほ床しく、鼻筋つんと通り目尻キリリと上り、洗い髪をぐるぐると酷く(むごく)丸めて引裂紙(ひっさきがみ)をあしらいに一本ざしでぐいと留めを刺した色気無の様はつくれど、憎いほど烏黒(まっくろ)に艶ある髪の一ト綜二綜(ひとふさ)後れ乱れて、浅黒いながら渋気の抜けたる顔にかかれる趣は、年増(としま)嫌いでも褒めずには置かれまじき風体(ふうてい)、・・・>

30歳前後の女性像を、ここまで生き生きと、繊細かつ豪快に描写する幸田露伴の筆力はすごい、と感心しながら50年ぶりに幸田露伴の文章に接しました。

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