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03/06/2011

芥川賞2作品

平成22年度下半期の芥川賞受賞作は2作品。先月読みましたが感想を書いてなかったので遅まきながら一言。

「きことわ」の朝吹真理子さんの大叔母・朝吹 登水子(あさぶき とみこ、1917年2月27日 - 2005年9月2日)さんは、日本のフランス文学者、随筆家として有名でした。フランソワーズ・サガンの『悲しみよこんにちは』の翻訳等で知られます。

「きことわ」は審査員の大半が絶賛したという作品です。「時間の処理の技術に長けている」(島田雅彦)、「触覚、味覚、聴覚、嗅覚、そして視覚を間断なく刺激する作品だ。この受感の鋭さは天性の資質だ。感覚で摑まえたものを物や事象に置き換え、そこに時間の濃淡や歪を加えて、極彩色の絵画を描いてみせた」(高樹のぶ子)といった具合。

ただ、私は「いささか冗漫、退屈の感が否めなかった」(石原慎太郎)という意見に近く、もう一方の受賞作「苦役列車」の方がおもしろかったのですが・・・

さて、朝吹真理子さんの華麗な生い立ちや人脈と対照的に、西村賢太氏は中卒、超底辺で借金地獄にあえいで生きてきた経歴の方です。「苦役列車」は自分の体験を小説にした私小説。それだけにリアリティに満ちており、読ませるなにかがあります。

内容には立ち入りませんので、興味をお持ちの方は書店でどうぞ。(月刊「文芸春秋」3月号に全文収録されています。特別定価 860円)

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