続・ウメサオタダオ展(4)
産経新聞6月9日付「越境精神 梅棹忠夫の残したもの」第4回。今回はローマ字運動です。見出しは「世界と等しくつながるには」。
執筆者・小長谷教授は、今回の福島原発に関する当事者からの遅めかつ控えめな情報発信と米国エネルギー省が情報公開した被爆量の事例を取り上げ、現在は新たな情報提供ネットワークが生まれていると述べます。
今から半世紀以上も前に、梅棹先生は世界と等しくつながるために、ローマ字運動とエスペラント語運動に没頭しました。いずれも戦後のラジカルな文化運動一種です。
「数において優勢をほこる、ほんのひとにぎりの言語群によって、小言語をかたる人たちが、抑圧され、排除されるという現実を容認することは、たえがたい」。先生は英語による寡占状態を阻止しようとされました。
「なんでいまさらローマ字?」と思っていた私は、知研関西+ローマ字学会の講演会で、梅棹先生から「日本語は読み方がいろいろあって索引が作れない。情報の活用に大きな妨げになる。だからローマ字だ」というお話を聞き、なるほどと思ったものです。
小長谷先生の次の解説は非常にわかりやすいですね。
「世界中で日本語を学ぶ人びとが漢字変換ソフトを持っているとは限らない。今なおローマ字書きは、世界中で日本語が愛されるためのだ一歩ではありうる」
「実は日本語に限らず、あらゆる言語にとって、ローマ字書きすることによって、インターネットに乗り、国境を越え、市民力をはぐくむ源泉となるのである」
「真実にみずから近づき、等しくつながる方法は、求めればすでに存在している」
(N)