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05/13/2012

宮部みゆきさんの <理由>

直木賞受賞作です。5月7日、TBS系「宮部みゆき極上ミステリー」第1夜としてテレビドラマ化されました。
高層マンションを舞台に、地上と20階に合わせて4人の死体が発見されるところから始まります。
原作は当初、朝日新聞社から単行本として出版され、ついで朝日文庫、さらにその後、新潮文庫にも収録されて今日に至っています。別の出版社から出す理由は、<新潮文庫には自分が上梓してきた現代ミステリー作品が多く集まっており、私自身にとってけじめとなる「理由」も同じ文庫として書店の棚に並ばせたかった。無理なお願いを聞き入れてくださった関係各位の皆様に、篤くお礼申し上げます>と著者自身が書いています。
池上冬樹氏によれば、<ドラマとして具体化された心の琴線に触れる意義深い状況に読者を引き込む小説、表現と人物造詣の独創性に満ちた傑作。数年ぶりに再読して、「理由」の凄さがわかった。
リアリズムでありな...がら形式に実験も怠らず、それが見事な成果をあげている>。
まったく同感です。「理由」は実際の事件を後から関係者にインタビューしながら書き上げたかのような不思議なノンフィクション風小説です。
池上氏はさらに、「幸福な家庭はすべて互いに似通ったものであり、不幸な家庭はどこもその不幸の趣が異なっているものである」というトルストイの「アンナ・カレーニナ」の有名な言葉を引き合いに出し、「ここには文字通り、それぞれ違う不幸を抱える家族がいくつも登場する。・・・家族とは何か、血縁とは何かを鋭く問いかけている」と書き、「これほど複数の家族の肖像をかすかなユーモアを交えて、ときに温かく、ときに冷徹に描くのは至難の技だ」、「民事執行妨害を持ち込んで、家族の崩壊と日本社会における小さなコミュニティのへ脳を活写している」と評しています。
さすが直木賞受賞作と思わせる「極上ミステリー」です。

次回、5月14日放送予定の「宮部みゆき極上ミステリー 第2夜」は「スナーク狩り」。原作を購入し現在、読んでいるところ。前回は放送までに読みきれませんでしたが、今回は間に合うでしょうか・・・

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