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08/17/2012

宮部みゆきさんの <小暮写眞館>

「宮部ワールド」が新たな境地を切り拓きました。この作品は、おなじみの「殺人をテーマにしたミステリー」ではありません。高校生が主人公の青春小説です。赤川次郎や東川篤哉を思わせる軽いノリを適当に織り混ぜながらも、さすが宮部さん、人間関係の複雑かつ微妙な部分をスパイスに、奥の深い作品に仕上げています。

1年半かけて書き下ろした2010年5月発行のハードカバー、720ページ、厚さ4cm。一見何の関係もなさそうな表紙の写真「菜の花畑とディーゼルカー、小さな駅」のなぞは、最後まで読むと解けます。第1話から第4話までありますが、それらがうまくつながりながら、読者をひきつけていきます。

2010年7月20日付朝日新聞に、「小暮写眞館」の紹介記事が掲載されています。
<社会派推理小説を書いてきた宮部みゆきさん(49)が、青春小説に挑んだ。「小暮写眞館」(講談社)は、現代を舞台にした小説では「初のノンミステリー」という。いわく「何も起きない小説」。これまで透徹した筆致で多くの殺人事件を描き、登場人物を不幸にしてきた。「2週目の出発点の作品」は、彼らを救う物語でもある。・・・「書いてつらくなるような事件は、もう書きたくないという気持ちが、正直、出てきてしまいました」>

<かつての社会派推理小説のように、伏線が絶え間なく連鎖するスリリングな展開にはならない。花ちゃんと友だちの会話など、「本筋とは関係ない無駄話をたらたらと書いているんです」。感情が盛り上がるような場面も、あえて筆を抑制した。「ゆるさを大切にしたかった」からだ。そんな気持ちの根は、『模倣犯』にある。「たくさん人を不幸にしたので……。あと引っ張っちゃったんですね」>

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