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11/05/2012

宮部みゆきさんの 「楽園」

「模倣犯」(2001)に登場したフリーライター前畑滋子のもとに飛び込んできた依頼「死んだ息子が残した絵について調べてほしい」・・・。絵の1枚には9年前、山荘で起きた事件の関係者や警察関係者しか知りえない事実が描かれていました。他にも不可解な絵が。

実の娘を殺めて亡骸を自宅地下に埋め、16年間そこに住んでいた両親、その事実を知らずに過ごしてきた妹、超能力者でなければ画けないような息子の絵を持ち込んできた母親、そして前畑滋子・・・登場人物の心理描写を軸にストーリーが展開していきます。読者はいつもの宮部ワールドにぐんぐん引き込まれます。

小説の中に新聞販売店や新聞記者が張り込む場面(文藝春秋社単行本下巻P292)がでてきます。実在の「産経新聞」と特定していることに、単行本や文庫本で読んだ人はびっくりしたでしょう。この小説は初出が産経の連載小説(2005.7~2006.8)なのです。

あとがきに、こんな言葉があります。
<全国の土井崎茜さん、まことに申し訳ございません。犯罪を扱った作品を発表するたびに、犯人や被害者と同姓同名の読者の皆様にはさぞかし不愉快なことだろう――と思うと、穴があったら入りたいという気持ちになります。それこそ「縁起でもない」ことだからです。今回はいつにも増して、胃がキリキリ痛みました。・・・>
小説家のこんな気配り発言を初めて読みました。 宮部ファンが多い理由の一つでしょう。

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