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02/24/2015

宇野浩二 橋の上

以前、鎌田さんが紹介されていたような気のする有栖川有栖編「大阪ラビリンス」(新潮文庫、平成26年9月)を買ってきて読んでいます。大阪に所縁のある作家による、大阪を舞台とした小説のアンソロジーです。短編が10編収録されています。その第1弾が、宇野浩二「橋の上」、随筆風の小説で、自分が子供だった頃の大阪の様子や初恋について書いています。

昔は、夜になると市内の主な橋の上に氷店が店を出して、夕涼み客に氷水や雪や氷あずきを食べさせていたようです。各店は床机を出し、その上に赤い毛せんを敷いて、まるで茶屋といった風情。さぞかし壮観だったことでしょう。もっとも警察から禁止され、消えるようになくなったそうです。

「Eー橋」と書いていますから「戎橋」ではないかと思いますが、そのたもとに電気広告が登場しました。それを見 て感激した様子が、詳しく書いてあります。暗がりの中に、突然つうと電灯が順々に一つずつ点って文字が現れ、その下に卵形の楕円形が現れて顔になり、口の中から舌が出るという、当時としては、画期的な電飾。橋の南詰めですから、ちょうどいまのグリコの看板辺りでしょうか。グリコの看板には偉大な大先輩がいたようです。

さて、この電気の顔の広告搭は突然、取り壊されました。朝鮮の客が、天王寺公園の夜の宴遊会に出ようとしてEー橋を通りかかったとき、口の中からペロリペロリと真っ赤な舌を吐くのを見て「怪しからん! 電気仕掛けで我々を侮辱するとは!」と激怒、言い訳と謝罪のため、大急ぎで潰すことになったそうです。
なるほど、「大阪ラブリンス」、トップバッターから大阪の迷宮に入り込んだようなユニークな小説です。

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