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10/28/2016

2016年の正倉院展 その1

全体的にゆったりした展示という感じがしました。出陳点数が少ないのかな? いつもギューギュー詰めに展示されているのに、空白のスペースがあったりして。
最初の展示室でいきなりガラスケースの中にあったのが、象牙の笏(しゃく)。覗き込んでいた二人連れの女性に、「正倉院展レクチャー」で仕入れた話題「笏は公式カンニングペーパーなんですって」と言うと、「うわー、おもしろい!」。
「出入(しゅつにゅうちょう)帳」もありました。正倉院文書が入口付近に展示されているのは珍しいですね。正倉院に収められた宝物の出入りを記録した重要文書。薬が多数、納められていたことがわかります。病気の人に与えたとの記述が出てきます。道鏡に屏風を貸し出したり、戦争時に武器を貸し与えたとの記録も。

北倉は光明皇后が大仏に献納された宝物、国家珍宝帳、種々薬帳などが納められていましたが、中倉は東大寺の資財(法要の仏具、諸堂の什具)、南倉には薬物や造営関係の実務用品が収納されていました。

今年一番の目玉「漆胡瓶」(しっこへい)が中央付近にデーンと展示されていました。ペルシア風の水差しです。名前そのままで、「漆」の「ペルシア」の「瓶」です。おもしろいのはこの瓶の製法。巻胎(けんたい)という漆工芸の素地技法が用いられています。細い木や竹の薄板の円い輪を積み重ねる輪積みか、板をコイル状に巻いていく巻き上げによって成型した後、漆で塗り固めます。
表面の文様(動物や植物)は、平脱(へいだつ)という漆工芸の加飾法を用いています。金・銀・錫などの金属製の裁文(さいもん=文様形に切り抜いた板状のもの)を漆面に貼り、全面に漆を塗って裁文の部分の漆を剝ぎ取ります。
写真は漆胡瓶がデザインされたポスター。

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